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過酷な労働環境を改善し、高まる冷蔵倉庫ニーズに応えるポイントは、技術革新と自動化

過酷な労働環境を改善し、高まる冷蔵倉庫ニーズに応えるポイントは、技術革新と自動化

冷蔵・冷凍食品の安定供給を支える「冷蔵倉庫」

スーパーマーケットやコンビニエンスストアで必ず見かける冷蔵食品や冷凍食品は、今や日本人の食生活に欠かすことができません。こうした商品の保管に特化したのが「冷蔵倉庫」と呼ばれる施設。国土交通省は冷蔵倉庫について、冷蔵室の保管温度が常時摂氏10度以下に保たれるものとして国土交通大臣の定める基準を満たしていなければならないと定義しています(倉庫業法施行規則(1956年運輸省令第59号)。基準をクリアする施設はすべて「冷蔵倉庫」ですが、-18度以下、-20度以下などの低い温度帯で保管する倉庫は「冷凍倉庫」と呼ばれています。

ニーズの高まりとともに低温物流の市場規模も拡大

近年、冷蔵倉庫のニーズが急速に高まっています。市場調査会社の分析がそれを裏付けており、株式会社矢野経済研究所が2023年に発表した2022年の低温物流市場規模は、前年度比3.6%増の1兆7,724億円。また2025年9月にはReport Ocean(レポートオーシャン)株式会社が、日本の低温物流市場は2024年の166億5,000万米ドルから、2033年までに703億米ドルへと4.2倍の規模にまで拡大するとの予測を公表しました。同社は食品分野だけでなく、繊細な温度管理を必要とする生物学的製剤やワクチン、遺伝子治療などの医薬品が成長を押し上げると分析します。

課題の人手不足を「自動化」で解決を図る企業

しかし一方で、冷蔵倉庫には課題もあります。その一つが過酷な労働環境による人手不足。特に冷凍倉庫は、-18度を下回る環境での作業のため作業員の身体への負担が大きく、敬遠されがちです。こうした問題の解決策として注目されているのが、倉庫の自動化です。国内でも冷凍倉庫の自動化を進める企業が出てきました。

福岡県に本社を置くパンメーカー、株式会社フランソアは、入荷から出庫までを在庫管理コンピュータがバーコードを処理。商品のアイテムや数量、日時、ロケーションなどの情報を即座に取得することで、冷凍庫内の商品の動向をリアルタイムで把握しています。

日本赤十字社北海道ブロック血液センターは、AGV(無人搬送車)を導入。搬入搬出作業を自動化し、作業量の軽減と効率的な作業が可能にしました。採用したAGVは-30度でも動作可能なため、作業員の低温設備への入室が必要なくなり、労働環境が向上しました。

また、不動産コンサルティング事業の霞ヶ関キャピタル株式会社は、完全無人化を実現した冷凍自動倉庫「LOGI FLAG TECH 所沢I」を完成。-25度の保管エリアでは、高効率で保管できる立体自動倉庫は人が立ち入って作業をする必要がありません。

出典

技術革新が進むコールドチェーンは中国でも重要なインフラに

冷蔵倉庫を含むコールドチェーン全体でも技術革新が進んでいます。コールドチェーンとは、温度管理が必要な商品を生産から消費地まで、一貫して低温状態に保つ物流のこと。IoT対応の温度監視やAIを活用した予測分析、自動化された保管・検索システムなどがリアルタイムの在庫管理を可能にし、ブロックチェーン技術はトレーサビリティーを向上させています。こうした取り組みにより商品の損失は減少。信頼性も高まりました。

海外でも同様で、中国のコールドチェーンはここ十数年で急速に成長し、中国経済や生活を支える重要なインフラとなっています。成長速度は非常に速く、2023年の市場規模は5,000億元(約10兆円)を超えます。冷蔵倉庫の自動化も進み、多くの倉庫で無人フォークリフトが活躍しています。

冷蔵倉庫の自動化が需要拡大に応えるカギ

2024年12月、一般社団法人日本冷蔵倉庫協会は、物流拠点の今後のあり方に関する検討会の内容をまとめました。それによると、今後、冷蔵倉庫業は低温食品需要の総量に留意しつつ、機能面では流通チャネルの変化に対応し、荷捌きや店舗配送、自動倉庫など流通面を強化していくことが確認されました。

高まるニーズにどう応えていくのか。そのカギとなるのが、冷蔵倉庫の自動化にあることは疑う余地がありません。

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