2025.07.31

3PL倉庫における、DX活用、省人化・効率化へのチャレンジ

第三者による物流管理「3PⅬ」

物流業界で今、注目されているのが「3PL」です。3PLは3rd Party Logistics（サードパーティーロジスティクス）の略で、簡単に言えば「第三者による物流管理」のことです。

国土交通省は3PLを、「荷主企業に代わって最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること」と説明しています。物流において荷主企業の課題解決に向けたコンサルティングを行う。それが3PLなのです。

3PⅬでは、荷主企業をファーストパーティー、納品先をセカンドパーティー、運送会社や倉庫会社など物流業務を担う第三者企業をサードパーティーと位置付けています。1990年代に3PⅬビジネスが始まったアメリカでは、すでに新たな物流市場として確立されています。

荷主企業は荷物保管や輸送において、それぞれに課題を抱えています。ここでは倉庫における主要課題である「省人化・効率化」について、DXを活用した対策を紹介しましょう。

デジタル化――複数の倉庫を一元管理するシステムで在庫精度を改善

全米に冷暖房機の卸販売店を展開する会社では、事業拡大に伴って配送センターが増加。センター間で在庫点数などのデータに整合性がとれず、入力作業を担う新規人員も増加しました。

そこで導入したのが、複数の倉庫を一元管理できるクラウド型在庫管理システムです。このシステムには3Dによるビジュアル分析機能があり、在庫管理のほか、注文・調達、機器、従業員管理など様々な情報を可視化。また、今後のグローバル化を想定して複数言語に対応するなど、高い利便性があります。操作もわかりやすく、スタッフの生産性は大幅に向上。在庫精度は大きく改善し、オペレーション全体の一貫性も確保できるようになりました。

AI利用――的確な需要予測で適正な在庫確保を実現

ドラッグストアをチェーン展開する会社では、自動発注システムを導入していましたが、需要予測の精度が低く、在庫の制御が難しいケースが発生。運用にかける手間や労力の多さも課題でした。

そこで新たに導入したのが需要予測型自動発注システムです。主要機能は、AIを活用した需要の予測。商品の店舗内での配置や設置期間などの棚割情報、特売情報、気象情報などを組み合わせて、推奨発注量を提案することができます。特に効果があったのは、需要変動が大きい特売品と季節商品で、これらの商品の需要は短期間に変化するため、需要予測が大変でしたが、導入以降は欠品を減らしながら適正在庫を確保できるようになりました。

ドローン導入――AI搭載のドローンで効率的に在庫を管理

スタッフの負担軽減が課題だった世界的な家具メーカーは、米国の配送センターで自律型AIを搭載したドローンを導入しました。

導入したドローンは、人工知能ベースのアルゴリズムを活用しており、センター内の商品の保管場所を特定して撮影します。また、事前に飛行タイミングがスケジュールされているので、カスタマイズされた屋内即位システムを利用して、倉庫高層部にある保管場所もナビゲートします。障害物を検知する機能も備えており、走行ルートを変更して衝突を回避できます。これにより同社は、効率的な在庫管理を実現。また、店舗でもドローンを稼働させ成果をあげています。

仕分けロボット――短期間で導入し生産性向上に貢献

国内外でロジスティクス事業を展開する会社では、仕分けロボットを導入しています。仕分けロボットは１台１台が動いて処理するので、仕分けの処理能力はロボットの数に対応します。そのため処理能力に応じ、小規模や物量の少ない倉庫であっても、費用対効果が出やすいというメリットがあります。

同社では多品種少量商品を扱う倉庫に導入。事前準備を徹底させていたこともあり、最短期間で立ち上げることで、物流現場を止めることなく導入できました。同社は季節ごとに商品が大きく変わるアパレル商品にも対応しており、大幅な生産性の向上に成功。ロボットとマンパワーを融合したハイブリッド型の業務フローの構築を目指しています。