ロボットが物流業界を変える!

人手不足とDXへの対応が求められる物流業界
2024年4月から働き方改革関連法が施行され、物流業界では人手不足や輸送能力の低下など様々な問題、「2024年問題」が生じています。
物流業界に経営支援サービスを提供するX Mile株式会社が物流経営者を対象に実施した「2024年問題実態調査」では、回答者の7割が2024年問題は常態化していると実感しています。しかし人手不足対策は6割にとどまり、DXについても3割強の企業が未着手であることがわかりました(2025年4月4日、毎日新聞デジタルプレスリリースページより)。
課題解決の決め手として注目される物流ロボット
人手不足の解消とDXによる業務効率化を一気に実現する手段として注目されているのが、物流ロボットです。物流ロボットは搬送やピッキングなどの作業を行います。比較的低コストで導入でき、既存の倉庫にも柔軟に対応できる柔軟性があることから、物流センターや倉庫でも運用が広がっています。株式会社矢野経済研究所が2025年3月に発表した2024年度の物流ロボティクスの市場規模は、前年比13.1%増の404億3000万円の見込みです。

人の作業を減らし、ヒューマンエラーを軽減
24時間365日稼働する物流ロボットは、ピッキングや仕分けといった単純作業を自動化。これまで人に頼ってきた作業を減らすだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも軽減します。代表的な物流ロボットを紹介すると――。
AGV(Automated Guided Vehicle)
「自動搬送ロボット」のことで、無人で搬送や運搬を行います。床に敷かれた磁気テープやQRコードを読み取り、その経路に沿って自動走行。決まった経路しか走行できませんが、その分導入が容易です。
AMR(Autonomous Mobile Robot)
「自律走行搬送ロボット」のことで、倉庫内を自律的に移動しながら搬送作業を行います。高度なセンシング技術を駆使して周囲の環境や障害物を検知。障害物があった場合には回避し新たなルートを再計算します。
GTP(Goods To Person)
「棚流動型ロボット」のことで、商品を保管する棚そのものをピッキング作業者の元へ運搬します。また、棚エリアが無人化できるので、照明を最小限に抑えることで電力消費を削減することも可能です。

国内外で成果をあげる物流ロボット
物流ロボットはグローバル企業が国内外で導入して成果をあげています。
Amazon
神奈川県相模原市の物流倉庫では、約3000台の物流ロボットが稼働しています。専用の商品棚も用意して格納スペースを効率化。従来の固定棚と比べ最大約40%も多くの在庫保管を可能にしています。
FedEx Express
シンガポールにAIを導入した貨物仕分けロボットを導入しています。ロボットは1時間に最大1000個の荷物を選別することが可能。人による作業に比べて大幅に作業効率を向上させています。
Walmart
アメリカにある巨大倉庫で自律走行ロボットを活用。商品をロボットが棚まで取りに行き、それをカゴに入れて従業員がいるワークステーションまで運びます。人の手が行き届かない場所への運搬もできます。
導入を真剣に検討するときが来ている
2025年4月からは業務の効率化や働き手の負担軽減を目的とした物流関連二法(物流総合効率化法、貨物自動車運動事業法)が施行されました(一部は2026年4月予定)。人手不足解消には、物流ロボットなどDXへの取り組みが欠かせません。矢野経済研究所は、ロボットのラインナップ増加により、物流現場での自動化の選択肢が増えると分析しています。
アナログ、長時間労働、若年層の離職など、抱えてきた課題を克服するためにも、物流ロボットの導入を真剣に考えてみる必要がありそうです。