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RPFは高いポテンシャルを秘めた燃料

RPFは高いポテンシャルを秘めた燃料

ゼロエミッションは時代の流れ

1960年代から70年代、日本では各地で公害問題が発生し、工場=公害の元凶という認識が定着しました。しかしそれから環境対策が進み、今では夜景見学が人気になるなど、工場に抱く人々のイメージは大きく変わりました。これまでのそうした取り組みを、さらに一歩前へ進めようとする考えの一つが「ゼロエミッション」です。
ゼロエミッションとは、人間の活動から発生するあらゆる排出(Emission)をできる限りゼロに近づけることを目指す理念や手法のことです。1992年の地球サミット(ブラジル・リオデジャネイロ)を受けて国連大学が1994年に提唱しました。
日本でも国(国土交通省、経済産業省など)や自治体(東京都、大阪府など)、企業が取り組みを始めており、廃棄物が出にくい商品設計に変えたり、ゴミとして廃棄処分していたものを資源として利活用したりすることなどが進められています。

化石燃料の代替として注目される

ゼロエミッションを実現するものとして注目されている素材があります。「RPF」です。RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel )は、主に産業系廃棄物のうち、マテリアルとしてリサイクルが困難な古紙や廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料です。つまりRPFは、棄てられていたゴミからつくられた燃料というわけです。
RPFは石炭やコークスといった化石燃料の代替として、すでに製紙会社、鉄鋼会社、石灰会社など多くの産業で利用されています。

廃棄物由来なのに高品位な燃料

RPFが廃棄物由来だからといって侮ってはいけません。第一の特徴は、燃料としての品質が安定していることです。発生履歴が明らかな産業廃棄物や選別された一般廃棄物(分別基準適合物相当)を原料として使用しているからです。熱量が高いことも特徴で、古紙と廃プラスチック類の配合比率を変えれば、簡単に熱量を調整・変更できます。
また固形で密度が高く、コークスや粉炭などと同等の利便性があるので、貯蔵や輸送効率にも優れています。

RPFには「三方一両得」のメリットがある

「三方一両損」は古典落語の演目ですが、RPFには三方一両損ならぬ「三歩一両得」のメリットがあります。まず、廃棄物排出事業者。廃棄物の再資源化に取り組むことは、循環型社会の実現に貢献している企業としてイメージの向上につながります。
また廃棄物処理事業者にとって、排出事業者が分別した廃棄物をRPFにリサイクルすることは、最終処分・焼却処理の量を減らすことになり、CO2(二酸化炭素)の排出削減につながります。 そしてRPF使用者は、RPFを化石燃料の代替として使用することで、石炭の1/4~1/3という低コストに抑えられるため、燃料費を削減できます。

先人の知恵が現代に受け継がれた

RPFをつくるうえで重要な役割を果たしているのが湿式造粒機です。工場から出る廃棄物の状態は“ヘドロ”です。これを湿式造粒機が脱水して塊にしたものがRPFです。脱臭、除湿もされているので、安心して使うことができます。
かつて、日本には炭団(たどん)という燃料が存在していました。売り物にならない炭屑でつくられた団子状の炭団は、火鉢やこたつで使われていました。石油ストーブやプロパンガスが普及する前の時代です。今も俳句の季語や大相撲の黒星の俗称として使われていますが、炭団そのものはもう日本で目にすることはほとんどありません。
RPFは炭団と比べるまでもありませんが、リサイクルという点では共通しているように思います。残り物を決して無駄にせず再利用してきた日本人の知恵が、最新の技術で受け継がれ、ゼロエミッションの実現に役立っていると言ったら、言い過ぎでしょうか。

廃棄物を資源に――。破砕プラスチックを脱水・圧縮することでRPFを製造し、廃棄物の再利用とコスト削減を実現します。
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