地球環境保護につながる「紙のリサイクル」
環境活動の合言葉「MOTTAINAI」
インバウンド需要が高まり、日本に興味をもつ外国人は増える一方。今や「SUSHI(寿司)」や「KAWAII(カワイイ)」は世界で通用する日本語になっているようです。
環境分野でも世界共通語になった日本語があります。2004年に環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが提唱した言葉、「MOTTAINAI(もったいない)」です。
Reduce(ゴミ削減)・Reuse(再利用)・Recycle(再資源化)という環境活動の3Rを一言で表すだけでなく、地球資源に対するRespect(尊敬)」の念が込められた言葉です。
なぜ紙のリサイクルが重要なのか
紙のリサイクルも「MOTTAINAI」活動の一つ。紙の原料である木材は限られた資源です。森林には大気中のCO2(二酸化炭素)を吸収する働きがあり、伐採すれば吸収するCO2が減るので地球温暖化が加速します。森林に生息する生物にもダメージを与えます。
また、紙の製造過程では電気や熱などのエネルギーを使用するので、エネルギーの約8割を化石燃料に依存する日本にとってエネルギーの節約は大きな課題です。
森林資源の保護、温室効果ガス(CO2)の抑制、エネルギーの節約。そこに、紙をリサイクルする大きな意義があるのです。
古紙が再生紙に生まれ変わるまで
家庭や企業・工場・店舗などから出された紙は古紙問屋を経て紙のリサイクル工場に搬入され、そこでパルパーと呼ばれる大きなミキサーに入れられて一本一本の繊維になります。
繊維はキレイな水で洗浄されたあと抄紙機(紙を作る機械)で脱水。シート状に形成されたあとは輪転印刷機用に巻き取られたり、枚葉印刷用に一定の大きさに断裁されたりして、再生紙として生まれ変わります。そして新聞、書籍、コピー用紙、トイレットペーパー、ペーパータオルなどの製品となって、再び世の中で活躍するのです。
すべての紙がリサイクルできるわけではない
ただし、すべての紙がリサイクルできるわけではありません。紙の中にはリサイクルできない「禁忌品(きんきひん)」と呼ばれるものがあり、禁忌品が混入して回収されると、リサイクル工場で機械の故障が発生するだけでなく、再生紙の品質の低下を引き起こす原因となってしまいます。
どんな紙がリサイクルNGかというと、宅配ピザの紙箱など油汚れがついた紙、「常温保存可能」と書かれたストローのついた紙パック、洗剤など臭いのついた紙、レシートなどの感熱紙、料金明細などの圧着はがき、特殊な染料を含んだインキで印刷された捺染(なっせん)紙・アイロンプリント紙などの昇華転写紙、金箔や銀箔が箔押しされた紙、防水加工された紙コップ・紙皿・カップ麺容器……。禁忌品は多岐にわたります。
しかし一方で、書類をまとめるステープラ(ホチキス)や段ボールの金属などはリサイクルの段階で取り除かれるので、そのまま古紙として出しても問題ありません。
ルールを守ることが環境保護につながる
ゴミ出しする紙は、新聞、段ボール、雑誌・単行本、紙パック(「紙パック」マークがついているもの)、雑紙に分類できます。ゴミとして出す前には種類ごとにまとめる必要があります。また、自治体によって回収のルールが異なる場合もあるので、チェックしておくことも重要です。
こうしたルールを守らないで出すと、ゴミ回収・清掃業者の人が困りますし、回収してもらえない場合もあります。
「自分一人くらいなら」などと決して思わず、ゴミ出しのルールはしっかり守ることが大切です。一人ひとりの「MOTTAINAI」活動が地球環境保護につながっていることを胸に留めて行動すれば、毎日の暮らしはより豊かになるでしょう。